警察庁発表の犯罪統計
警察庁が発表した「平成21年の犯罪情勢」によりますと、平成21年1年間の全刑法犯の認知件数(警察庁が認識した件数)は、170万3,044件と前年比▲6.3%となっていますが、その内、凶悪犯では強盗が、4,512件と前年比5.5%増加しています。その他、万引き、出店あらしなどが増加しています。
刑法犯の認知件数は、全体として減少傾向にありますが、依然その水準は高く、犯罪の凶悪化、低年齢化などは益々深刻な社会問題になっています。
内閣府が公表した「治安に関する世論調査」でも約8割の国民が「ここ10年間で日本の治安は悪くなったと思う」と回答しており、体感治安は益々悪化しているのが現状です。
警察庁の犯罪防止対策
警察庁は、年々増幅する国民の不安を解消し、治安を回復する為、各都道府県を通じて、街頭犯罪及び侵入犯罪の発生を抑止する為の総合対策を推進しています。
「街頭犯罪・侵入犯罪抑止総合対策の基本方針」を各都道府県の警察に対し通達し、基本方針に基づいた総合対策を引き続き強力に推進していくよう要請しています。
この基本方針では、子供や女性を犯罪から守るための対策の推進や、防犯ボランティアなど地域住民や企業による自主防犯活動の定着化を重点対策として揚げており、官民協働による合同パトロールの実施や関係自治体に対する街頭防犯カメラの設置など必要な事業に対する財政措置の働きかけを積極的に行っていくとしています。
内閣府による犯罪対策の行動計画
内閣府も「国民の体感治安は依然として改善されていない」として、より根本的な犯罪対策を講ずるために、平成19年12月の犯罪対策閣僚会議において、犯罪対策の新たな行動計画「犯罪に強い社会の実現のための行動計画2008」をまとめました。
この行動計画は今後5年間を目途に犯罪を更に減少させ、国民の治安に対する不安感を解消し、真の治安再生を実現することを目標としています。
重点課題としては以下の7つを揚げています。
- 身近な犯罪に強い社会の構築
- 犯罪者を生まない社会の構築
- 国際化への対応
- 犯罪組織等反社会勢力への対策
- 安全なサイバー空間の構築
- テロの脅威等への対処
- 治安再生の為の基盤整備
日頃の生活の中で最も関心の高い、「身近な犯罪に強い社会の構築」については、以下を重点的に取組むとしています。
- 地域の自主防犯活動を、企業等の取り組みともあいまって質を高めつつ共同体の構成員相互間の絆を強める手段の一つとして社会に根付かせる必要があるとして、防犯ボランティア団体への経済的支援や的確な犯罪情報・地域安全情報の提供などに取り組む。
- 犯罪に強い街づくりの一環として、繁華街・歓楽街の再生を図るほか、道路、公園、商店街、駅、大規模集客施設、金融機関等の犯罪抑止に配慮した環境設計の導入や防犯カメラなどの防犯機器等の設置を促進する。